人は相手を信用するようにプログラムされている
人は基本的に相手が言っていることを信用するように作られています。 人間が普段発する言葉のほぼ100%は真実だからです。 人が発する言葉の震源地は,発言者の脳であり,脳で考えていること(=本心)を発しているはずであり,そこをいちいち疑うのは合理的ではないことを人間は知っているのです。
そのため,人間は基本的に,相手を信じるようにプログラムされています。
この人間のプログラムを悪用したのが詐欺です。 相手が信じる傾向があることを利用して,嘘を信じ込ませて勘違いさせ,相手方に金銭的価値のあるもの(お金や資産)を給付させるのです。 詐欺の最終目的が「お金など金銭的価値がある物を給付させる」ことにあるため,お金のやり取りが多発するビジネスの場での詐欺の出現率はかなり高いのです。
また,刑法上の詐欺にバッチリ該当はしなくとも,「それは不当でしょ〜」というような詐欺まがいな契約・取引・行為は,ビジネスの場ではかなり頻発すると,今から心得ておきましょう。 『詐欺まがいな契約・取引・行為』とは,簡単に言えば(ちょっと乱暴にひとまとめにすれば)嘘のことです。
「お願いしていたのにやってくれなかった。」
「約束していたのに〆切を守ってくれなかった」
...など,いくらでも今までの人生において経験があるはずです。
「いやいや,過去の偉人たちの本を読むと,人を信じたことで成功を納めている事例があるよ?」と反論があるかもしれません。
しかしながら,本にたくさん触れていて思うのは,書籍化までされている自叙伝などは,生存者バイアスがかなりかかっていることを踏まえて付き合うべきであるということです。
本を書く機会も時間もなく,人に騙されて再起不能となり消えていった者の自叙伝はこの世に生み出されないのです。
人知れず,人を信じたが故に消えていった者がいる(ほぼ間違いなく確実な)事実についても認識しておいて損はないでしょう。
私は,みなさまが個人的な主義・主張として「人を信じる」「私は性善説だ」というような立場を取ることまでは否定しません。
しかし,「自分が性善説を信じることと,相手が性善説に従って行動してくれるかは,全く別の話である」ことを理解しておきべきです。
この理解をしておくだけで,ビジネスにおいて自分が損したかもしれないお金を守ることができる確率は上がると思います。
予定通りに動くという高価値
ここで,ビジネスにおいて,特に高いスキルを必要とせず,それにも関わらず相手から信頼を維持できる方法についてお話しします。
それは,「予定通りに動く」という方法です。
『予定通り』というのは,時間を守るだけでなく,体調不良とならない,一度約束した日時を動かさない,相手が期待している(予定している)クオリティで納品する,など,あらゆる面で予定通りに動くことを意味します。
とは言え,『予定通り』が意味する大半は「時間通りに」です。
これは,私の店長時代の経験から導いた信頼基準です。
私は某デリバリーピザチェーンで店長をしていたことがあるのですが,「予定通りに動く」アルバイトの方が一番好きで,とても頼りにしていました。
デリバリー時間にムラがあって,やる気があるときはキビキビ動いて早く配達して帰って来る。 信号の無い裏道を憶えることをせず,信号運によってお店に戻って来る時間がバラバラ...。 接客が雑で余計なクレームやトラブルを起こして対応時間を発生させる...。 というようなデリバリーアルバイトよりも,常に一定時間で帰って来る「あの子に任せておけば,何もトラブルなく,通常通りに(=予定通り)にことが運ぶ」というアルバイトを非常に高く評価していました。
デリバリーピザは,通常の飲食店と違い,お届け時間をお客様と約束し,その時間内にお届けするという,明確な時間のリミットが存在します。
そして,その配達完了までの時間のうち,商品作成,オーブンで焼成,出発作業は,ほぼ各配達において誤差はありません。 配達完了までの時間の大部分はデリバリー時間です。 お店では,デリバリーがいつ出発したのか記録がありますので,店長ならば「ここに配達に行っているなら,このくらいの時間にはお店に戻って来る」と,計画を立ててピザを焼いてデリバリーをまわしています。
そのため,時間には結構シビアになり,体調不良なども含めて「予定通りに動く」ということを,私は非常に大切にしています。
もちろん,体調不良になるかならないかは,持って生まれた体質もありますので,絶対とは言いませんが,体調不良だから許してもらえるリスケと許してもらえないリスケがお客さまにはあることを認識しておきましょう。
たとえば,1日ズレても影響のない打ち合わせ予定をズラすのならば,体調不良が理由なら許してもらえる可能性は高いでしょう。 しかし,私がよく担当している外国人労働者の在留カードの更新や変更手続きは,1日でも申請が遅れると,そこからの将来取り返しのつかない事態を招く可能性があります。
「体調不良で1日申請遅れちゃって...。 ごめんオーバーステイ(不法滞在)になっちゃった。 ごめんね。」と言って,許してくれる外国人のお客さまはほぼいません。 その方が将来,永住権や帰化申請(日本国籍を得て日本人になること)を目指していた場合,そのときの審査に不利になる可能性が高いためです。
お客さまは”依頼を出した相手が言ったこと・約束や契約したこと”は,当然守られると考えます。 前述の理由の通り,そういう風にプログラムされているからです。
そのお客さまの期待をまずは死守するということは当たり前でありますが,その当たり前であるがゆえに,できない場合はビジネスにおいて死に直結しますので,気を付けましょう。
最後まで読んでくださいありがとうございました!