事業論

【自分のお金を守ろう】コストカットは実は非常に難易度の高いスキル

2024年6月20日

コストカットは実はかなり難しい

コストカットの重要性はさまざまな本でも説かれていますが,実際に徹底的なコストカットをするのはかなり難しいです。 「コストカット(節約)が大切である」ことはほぼ100%の人がわかっているはずです。 しかし,適切に徹底的にコストカットができている人はほぼいないと思われます。

「いやいや,そんなことないよ。 普段から無駄遣いに気を遣ってるよ。」という方も,普段使ってないサブスクがそのままになっていたり,より自分に合った安いプランがあるのにそのままになっていたりしませんでしょうか?

「食べきれるだろう」「割引品で安い!」と思って買ったお惣菜だったけど,気付いたら消費期限が切れちゃって捨てちゃった…。 これもコストカット失敗の例です。 少し調べればわかるけど,格安SIMスマホに切り替えずにいたり…など,理論値の最小コストを目指すのは,簡単ではないのです。

(既にできている方は,めっちゃ才能あります。)

つまり,コストカットは意識すればできるものではなく,勉強し,訓練した先に得られる非常に高度なスキルであるということです。

稲盛和夫さんがJALを再建した方法のひとつもコストカットであったようです。

 

コストカットはなぜ難しい?

そもそも,コストカットはなぜ難しいのでしょうか?

その理由は,コストというものが,放っておくと現状維持or膨張する性質を持っているからです

売上は,放っておいても増えていくことはほぼありません。 日々,サービスを改善し,お客さまに認知されるよう営業活動などの努力をした結果,現状維持や増収に繋がります。

対して,コストは放っておいても固定費は常に発生しますし,変動費の存在もあります。

 

「1万円を稼ぐより,1万円使ってしまう方が圧倒的に簡単だ」という人のが多いはずです。 そのため,コスト(支出)を意識せずに活動をすると,あっという間にコストが膨れ上がります。 なんせ支出は簡単なのですから,簡単である支出をイベントの発生頻度は多くなるからです。

また,人には「 支出の額は,収入の額に達するまで膨張する」性質があると言われています。(パーキンソンの法則)

収入が増えても,それに合わせて良い物を食べたり,買ったり,自分にご褒美したりと,余計にお金を使ってしまうのです。 ボーナスが入ったから,普段は買わないものをご褒美に買おう…!なんて支出をしたことある人は多いと思います。 お金が無ければ無いで使わなかったお金も,有れば使ってしまうのが人間なのです。

 

対して,コストが勝手に縮小するなんてことはほぼありません。 身の回りのものがインフレにより値上がりすることがあっても,値下がりしたことなど,ほぼ無かったはずです。

このように,コストというのは,放っておくと縮小するなんてことはなく,現状維持or膨張をしていく性質のものだと,まずはしっかり認識しておきましょう。

そして,「ふ〜んそうなのか!理解したぞ!」「パーキンソンの法則(キリッ)」と知っているだけでは,知識の無駄遣いです。 このような法則を発見したり,研究するのは学者の方の仕事であって,私たちはビジネスをする実務家を目指しているはずです。

つまり,パーキンソンの法則という人間の性質を知って終わりではなく,「人間の性質なのだから,何かしらの手段・方法で対策をしないと,自分も同じ状況(コスト膨張)に陥るから,対策を講じなければならない」と考え,実践するのが実務家なのです。

 

私がコスト管理で大失敗した経験をお話しておきます。 コスト管理を適当にするとどうなるかよくわかるストーリーです(苦笑)

以前,とある会計ソフトについてくる1年間の無料サービスのサブスクを解約し忘れて,更新されてしまい,11万円ドブに捨てることとなりました。

それはもう...ブチギレチンパンジー状態です。

 

「11万円有ったら何ができたかなぁ…」と考えようとすると胃がキュッとなるので,別の考え方をすることにしました。 「ここで入念にコストを見直して,徹底的にコストカットをしよう。 そして11万円払って,将来の11万円以上のコストカットに成功したということにしよう」と考えることにしたのです。

固定費全てを見返して,無くてもいいコストは全てカットしました。

 

ちゃんとコストと向き合うと新たな発見がいくつかありました。 たとえば,行政書士のとある業務は,以前はクソ高いサブスクサービスを利用しないとダメだったのに,時代が進み無料で同じ機能が提供されていることが判明しました。

もう速攻でサブスク解約です。

サブスク解約やその他コストの見直しにより,11万円以上のコストカットに成功したので,11万円の勉強代の元は取れたと思います。

 

どうやって膨張するコストと向き合うか?

自分は,かなりコストを抑えている自信があります。 そこで,膨張するコストとの付き合い方として,自分のやり方をひとつ紹介しておきます。

それは,自身の損益計算書を毎月作り,定期的にコストを見直すことです。

どうでしょうか? 経理や会計事務に携わっていた人からしたら「そんなん当たり前やんけ」ってくらい,当たり前の方法で驚いたと思います。

損益計算書は,財務諸表と呼ばれる,ビジネスをするうえでは,超・超・超大事な超基礎的なものです。 『損益計算書』と,名前は仰々しいですが,バチクソ簡単に言うと「売上−経費=利益」が書かれているものです。

 

「損益計画書」「貸借対照表」などの単語が怪しく,これらの財務諸表を読めない方は,早めに知識を身に着けておくことをおすすめします。 やはりお金の動き(とそれを記録した財務諸表)をキチンと把握できるかできないかは,お金を守れる能力に大きな差が出ます。 私も最初は財務諸表の読み方はサッパリでしたが,本で学習して今は問題なく読めるようになっています。

初めての方には,以下の2冊がオススメかな?と思います。 どちらも小説風のストーリーに沿って解説がされているので,固いイメージのある財務諸表解説書とは思えないくらい役に立つ名著だと思います。

 

自分は毎月末に損益計算書のざっくり版をExcelで作ってます。

↑こんな感じです。

つまり「1ヶ月の売上−1ヶ月の経費=利益(or赤字)」の『1ヶ月の経費』を毎月吟味するのです。

大変そうに見えるかもですが,全然大変ではありません。 固定費経費はほぼ毎月変わらないので,前月の数字をコピペすればOK。 あとは月末に「今月も頑張ったなぁ〜」って売上をウホウホ・ウキウキしながら入力すれば,もう損益計算書は完成です。

で,経費を見て,「本当に必要な経費だけになっているか?」「経費が膨張を始めていないか?」を確認するだけです。

作業としては毎月15分〜30分くらいです。 ↓ここに僕が使っているExcel置いておきますので,ご自由にお使いください。 水色のセルだけ入力すれば後は勝手に計算されます。

 

そして,月初には会計ソフトに変動費や個別発生の経費を入力し,詳細版の損益計算書をサラッと眺めてコスト膨張対策は終わりです。

最近の会計ソフトは非常に優秀で,損益計算書も貸借対照表もパパッとブラウザで確認できます。

自分は仕訳記帳ができるのですが,仕訳できなくても,最近の会計ソフトには,簡単入力機能が大体あるので簿記の知識がなくてもそんなに困らないかなと思います。

ちなみに自分が使っている会計ソフトは,やよいの青色申告です。

初年度は無料なので,スタートアップ1年目は無料で使えます。

上に書いた機能はもちろん搭載されているし,なんと言っても安いです。 自分は仕訳できるのでセルフプランの年8,800円(+税)を利用しています。 1ヶ月900円弱で会計管理機能が一式揃うので,コスパはかなりいいかなと思います。

個人事業主のようなスモールスタートなら,やよいの青色申告を使っておけば確定申告書作成までできますので問題ないと思います。

弥生さんは会計ソフト分野では圧倒的なシェアを誇っているので,操作がわからないことがあってもネットに情報が転がっているのがとてもありがたいです。

(ちなみに「やよいの白色申告」だとずっと無料で使えますが,所得税の控除額が白色申告では10万円,青色申告では最大65万円と,節税効果が全然違うので,青色申告できる体制を整える一択です。)

 

※起業における簿記の知識について

個人的に,起業しようと思うなら,簿記の知識については,簿記3級レベルくらいは最低限知っておくべきだと思います

簿記3級レベルの知識も無いとなると,複式簿記の概念も理解できず,お金の動きが全くわからないままビジネスをすることとなり,爆死すると思います。

また,私の民法解説サイト『条文の個性』経由で本記事にいらした方で,将来士業で起業するなら,なおさら簿記の知識は必須です。 士業がサービスを提供するお客様には法人が多く,普通の会話の中で勘定科目が平気で飛び交う世界だからです。

 

簿記2級や1級を目指すととんでもない労力なので,3級レベルでひとまずOKと思います。(簿記1級の勉強時間が600時間くらいらしいので,士業になった方からするとその重さはわかると思います。) 3級レベルなら60〜100時間もあればひと通り知識は着くはずです。

士業ならば(士業でなくても起業をするなら),60時間強の学習は簡単に消化できると思います。 簿記の知識は,60時間強の時間投資に対して高コスパのリターンを返してくれます。 ちなみに自分は士業を始める前に,以下の本1冊読んでお金の勉強を始めました。

一応,紹介しておきます。

簿記の本はたくさんあるので,自分に合ったものでいいと思います。

個人的にはパブロフくんシリーズは人気なのと,パブロフくんがかわいいのと,4コマ漫画形式で解説が進むのでイメージしやすかったので利用しました。

簿記3級+やよいの青色申告でビジネスをスモールスタートし,必要に応じで税理士さんなどのプロに頃合いを見てお願いをする。 これが一番良いかたちかなと思います。

 

最後まで,読んでくださりありがとうございました!

-事業論
-, , , ,